この記事でわかること
・看取りが近づいた父の意外な行動
・訪問看護が教えてくれたこと
・最後の親孝行になったかもしれない時間
・家族だからこそ見られた父の姿
前編・中編はこちら
「ドーン!」という音で目が覚めた
夫が帰省していたある日の早朝。
朝4時頃だったそうです。
寝ていると、
父が歩いてくる足音が聞こえました。
こんな時間にどうしたんだろう。
そう思った次の瞬間、
ドーン!
大きな音がしました。
慌てて見に行くと、
父が母の横で、
うつ伏せに倒れていたそうです。
まるで助けを求めるような姿だったと聞きました。
母の言葉
その時、
認知症の母が父の背中をさすりながら、
「お父ちゃん、大丈夫?」
「ベッドで寝た方が楽だよ」
と声をかけていたそうです。
夫はその様子を見ながら、
正直、
「もうだめなのかもしれない」
と思ったそうです。
すると、
父は泣いていました。
夫は、
「これはどういう状態なんだろう」
と戸惑ったそうです。
しばらくすると、
父はゆっくり立ち上がり、
何事もなかったかのようにベッドへ戻っていきました。
後から考えると、
苦しさの中で、
一番近くにいた母のところへ行きたかったのかもしれません。
長年連れ添った夫婦だからこその姿だったのかなと思いました。
原因は薬の飲み忘れだった
その日の午前中、
訪問看護師さんが来てくれました。
父に話を聞くと、
前日の夜の薬を飲み忘れていたそうです。
その薬は痛みを抑える大切な薬。
飲み忘れたことで、
激しい痛みが出てしまったとのことでした。
私は勝手に、
「いよいよ最期が近いのかもしれない」
と思っていました。
でも実際は、
薬がしっかり効いているかどうかが大きかったようです。
医療の力って本当にすごいんだなと感じました。
父が突然言った言葉
その後、
看護師さん達と話している時です。
父が突然、
「パチンコに行っていいですか?」
と言ったそうです。
夫は心の中で、
「え?」
と思ったそうです。
だって、
数時間前に倒れていた人です。
「そんな状態で行けるわけない」
「途中で倒れたらどうするんだ」
「無理でしょ」
そう思ったそうです。
ところが、
看護師さんの返事は意外でした。
「行ってもいいですよ」
「息子さんも帰ってきているんだから連れて行ってもらいなよ」
夫は驚いたそうです。
最後の親孝行かもしれない
結局、
車で30分ほどかけてパチンコ店へ。
もちろん、
長時間ではありません。
体調を見ながらです。
それでも父は嬉しそうだったそうです。
好きなことをする。
自分らしく過ごす。
看取りというと、
ただ静かに過ごすイメージがありました。
でも、
本人が望むことを叶える時間も大切なんだと感じました。
父を初めてお風呂に入れた日
また別の日。
父が突然、
「風呂に入りたい」
と言い出したそうです。
夫は、
「え?看護師さんいないのに?」
と思ったそうです。
そこで訪問看護師さんへ電話。
すると、
「体調が良ければ大丈夫ですよ」
との返答でした。
夫は父を支えながら、
お風呂へ入れました。
「あぁ、気持ちいい」
湯船につかった父は、
本当に気持ちよさそうだったそうです。
「あぁ、気持ちいい」
「もう少し入っていたいな」
その言葉を聞きながら、
夫は父の背中を見ていたそうです。
そしてお風呂から上がった後、
父は満足そうに、
「あぁ、気持ち良かった」
と言いました。
夫はその言葉が聞けただけで嬉しかったそうです。
まとめ|特別なことじゃなくてもいい
看取りが近づくと、
何か特別なことをしてあげなければいけない気がします。
でも実際は違うのかもしれません。
好きなパチンコへ行くこと。
お風呂に入って気持ち良かったと言うこと。
夫婦で声を掛け合うこと。
そんな何気ない時間こそが、
本人にとって大切な時間だったのかもしれません。
そして夫にとっても、
最後の親孝行になったのではないかと思います。
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